よく買い物にいく近所のスーパーでは、ちょっと前に流行った曲をBGMとして流してるんです。
先日の買い物中に、10年とちょっと前くらいによく耳にした曲が流れてきて、その当時の自分のことがブワッと脳裏に蘇り、様々な思いが頭をよぎりました
うつ病が快方に向かい、仕事も決まり、「もう前に進むだけ!」意気揚々としていたあの頃
30代前半だった当時の私は、数年治療してきたうつ病の症状がだんだんと良くなり、医師から「少しずつ働いても良いよ」と許可が出るくらいになった、という状態でした。
「うつ病もう治ってきたんだ!よかった」とうれしくなり、その医師からの言葉を受けてすぐに就活をし、さっそく派遣で働き始めていたんです
当時は、うつ病で身動きが取れない段階はもうすぐ終わるんだ、これからは明るい未来が待っている!と思い込んでいたんですよね。
これからは普通に仕事をして、そして子供を妊娠して、子供を育てて…
そんな、普通の人が普通に進んでいる道を、私もやっと歩めるようになるんだ!と希望に満ちていたんです
そううまくはいかなかった。
しかし…そう思い通りにはいかなかった。
仕事を始めて間もなく、父が重病にかかり、そして間もなく死ぬという大きな出来事が起こりました。
毒親とはしばらく疎遠にしていたとはいえ、この出来事にはさすがに心が波立ち、自分の日常だけに没頭・集中できない状況となりました
主治医にこのことを話すと「あなたの人生っていつも、落ち着いたと思ったら、いろんなことが立て続けに起こるよね‥」と同情的な顔でしんみりと話されました。
仕事も、うつ病で数年あけてしまった仕事の感覚のブランクを埋めるのに必死にならなければならない上に、(余談ですが、仕事ってたった1年でも間をあけると、わたしは浦島太郎か?ってくらいに自分との距離が空いたことを感じますよね。仕事内容だけではなく、着る服なんかも少しずつ以前と雰囲気が変わっていたりして‥)
私の超絶ウィークポイントである対人関係を休む間もなく毎日こなすということはかなり高いハードルだったため…私は仕事に対して毎日大変なエネルギーを要し、やがて日を追うごとに、クタクタに疲れていったんです
そんな私を、会社は、「この人はここでコンスタントに働けるタイプではない」と判断したのでしょう。私は一年も経たずに派遣契約終了となりました。
同時期に働き始めた派遣仲間がいたのですが、彼女は契約社員、つまり直接契約にに鮮やかにステップアップ。会社に求められる人と、不要だと切られる人(私)。その違いを嫌というほど見せつけられました。
私は派遣を契約終了となってからは、無理が祟ったのか緊張の糸がきれたのか、普通が普通にできない自分に絶望したのかその全部か…全部ですね。まるで坂を転げ落ちるようにうつ病が悪化してしまい、頭や体は以前よりも動かなくなりました
その後、なんと約10年もの間。うつ病は悪い状態が続き、私はその間働くことはもちろん、日常生活もままならない状態となり、家でただぼんやりといたずらに時を過ごすのみとなってしまいました。
こんな状態では子供を持ち、育てることなど到底考えられず、諦めざるをえませんでした。
30代という”人として家庭や社会で躍動的に活動する時期”を、まるまるドブに捨てたような感じでした。
よくなったと思えたうつがまもなく悪化し、それから約10年もの間、仕事どころか日常生活もままならないほど動けなくなるなんて…
そんなことが起こるなどつゆほども考えず、意気揚々と仕事を始め、新しい生活を始めたばかりの、十数年前のあの頃。
その当時よく流れていた曲を聴いていると、その後長くどん底に落ちるとは知らずにウキウキしていた自分のことが思い出され、なんとも言えない気持ちになりました。
どっこい生きている
一方で…うつが再発し悪化し、横たわりながら同世代の活躍をうらやましく見上げながら、「みんなできることが、自分にはできない」ということを嫌というほど目の前に突きつけられ、長い間なにもできずに倒れていたのに、クタクタのボロボロになって絶望していたのに、
でも、それでも今、私はまだ生きているんだよなぁ、我ながらほんとしぶといよなぁ、と自嘲ぎみにちょっと笑ってしまいました。
落ち込んでいた時に時々眺めていた、”うつ病で何もできない人たちが、その心の内を語り合う匿名掲示板”で、誰かが自嘲気味に書いていた「どっこい生きている」という言葉を久しぶりに思い出しました。
何もできない、やる気も出ない、でも、まだ生きている。
約10年もの長い間なにも何もできず、ぼんやりと過ごした私は、それが思いがけず功を奏したのか、じわじわと少しずつエネルギーが再びたまってきたんですよね。現在は以前と比べて、できることが少しずつ増えてきました。はたからみればありんこの歩みレベルの小さな前進ですけれどもね
でも、
- もう二度とあんな再発悪化をしたくない。
- そのためには、自分の不得意なこと・やっていて無理を感じることには極力手を出さずに
- 無理せずできること、やっていて楽しいことを探して、少しずつ前進しよう
ということはしっかりと心に深く刻んでいます。
現在、再びのうつ症状の緩和時期を迎えていますが、今回は前回の大失敗を踏まえ、この戒めをしっかり守っているのが功を奏しているのか、今のところ、前回のような倒れそうな疲労を感じたり、大失敗・大転倒は起こさずに過ごせています。
以前の大失敗を反省しニの轍を踏まないよう、以前のように無理して爆発し倒れて動けない状態に戻らないよう、そろりそろりと地の底を這うように生きる。
私の人生はおそらく終わりを迎えるまで、こんなふうに進むんだろうな、こんなふうに進めていくしかないんだろうな、と哀しいような笑っちゃうような変な気持ちになりながら、昔流行ったその曲が流れ続けるスーパーで買い物を続けました
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