幸せ妊婦さんに「子供ができない辛さ、わかるー!」と笑顔で共感されたとき

雑記

女性同士で会話するときに、
「わかるー!」というあいづち、よく使いますよね

肯定のあいづちで、わかりあえる喜びを感じますね

私は以前、「妊娠することができない」という、
女性としてセンシティブな悩みを持っていた時期に、

念願の妊娠がわかって幸せ一杯な妊婦さんに、
「こどもができない辛さ、わかるー!」
と共感されたことがあります

残念ながら、そのとき、
いつも感じる共感のうれしさはありませんでした

このいつもと違う「わかるー」がきっかけで、
仲良くしていた彼女との関係性は、変わってしまいました

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同じ悩みを持つ人との出会い

以前、子供が欲しくても、なかなか授かることができず、辛い思いをしていた時がありました

そんなとき、同じ悩みをもっていた同世代の女性と知り合い、時々お茶やおしゃべりをする仲になりました

まわりの同世代は、結婚後ほとんどの人が間もなく子供を授かり、出産をして、ママやパパになっていきます

そしてやがて二人目や三人目を授かり
順調に家族を築いていく、という人が多数派でした

SNSや年賀状には、ファミリーの幸せ報告が、どんどん増えていきました

私も自然とそのコースに乗ると思っていました

会う人会う人に「子供まだ?」と尋ねられたので、周りの人にもそう思われていたのでしょう

私はいつ妊娠をしてもいいように、
心身の準備を整えていました

しかし、何年経っても妊娠しないため、
思い切って専門の病院にも通いました

しかし、そこで心身に大きな負担がかかり、メンタルを病んでしまい、


私の妊活は心療内科の主治医にストップがかけられました

そんな中、
私と同じく子供ができずに悩む女性と出会いました

彼女とは、他の同世代が普通に妊娠出産をしていくなかで、


自分達が取り残されていく悲しみや辛さなどを、会うたびに話しては共感しあっていました

誰にも話せないことをわかりあえる
彼女と過ごす時間は、心がほっとするものでした

同じ悩みを共有していた人の妊娠

そんな中、少し久しぶりに、
彼女からお茶の誘いの連絡をもらいました

約束したカフェで彼女を待っていたところ、

到着した彼女は、いつもよりも神妙な顔をして席に着きました

「どうしたの?なにかあったの」と聞くと、

彼女は

「私、妊娠した。」と一言つぶやきました

驚きましたが、おめでたいことです

そして私は、何度も何度も何度も同じ立場で同じシチュエーションを経験しています

いつものように、「よかったね、おめでとう!」と彼女にお祝いの気持ちを伝えました

そうすると彼女は神妙な顔つきから一転して笑顔になり、怒涛のような喜び語りが始まりました

  • 子供ができるまでのあまり聞きたくない生々しい経緯
  • 自分はどれほど子供が欲しかったか
  • 今、妊娠できて、どれだけうれしくて幸せか
  • 妊婦には、国や自治体がびっくりするぐらい手厚いサポートやプレゼントをくれる
  • 子供が出来ると、すごく得する

そんな感じで、今彼女は嬉しくて幸せでいっぱいであることを、次々と語り続けます

私は、うんうん、そうなんだ。と笑顔で聞いていました

彼女の幸せな語りは止まることなく、
私が聞き役である時間が、ひたすら続きます

そのうち、私は、自分がほしくても得られない幸せを得た人の話がひたすら続くこの状態に、

さすがに辛さを感じてきました

私はこの人のように、妊娠ができなかったんだ

心を病んで、年も重ねて。
この人とは違って、私は幸せな妊娠からはどんどん遠のいてる

自分の惨めな現実を、いやでも突きつけられます

私はうつ病を発症し、心療内科に通院していましたが、

うつ病のカミングアウトは正直勇気がいりましたし、


何より彼女との楽しい時間を暗い空気にしたくなかったので、

これまで私の発病と通院のことは言っていませんでした

しかし、この場で思い切って伝えることにしました

私のネガティブな状況を話すことで、彼女の幸せに水を差すのはとても気が引けましたが、

私だって、現在抱えている私の事実を知ってほしかったんです

わかるー私もそうだった

「あのね、子供を授かって幸せな気持ちでいるあなたに、

こんなことを聞かせるのは本当に心苦しいんだけど

実は私、子供ができないことで、心を病んでしまって、心療内科に通院してるんだ

妊活は、ドクターストップがかかってしまったの」

慎重に言葉を選びながら、
今の私の状況と、その気持ちを伝えました

そうすると、彼女からは笑顔で、
こんな返事がかえってきました。

あっ、わかるー!私もそうだった!
子供できなすぎて心病むよね!
私も一時メンタルやばかったもん!
よくわかるよー!

念願の妊娠を果たし、幸せいっぱいの人から放たれた無邪気な「わかるー!」

妊娠できずに心が病んだ自分に向けて、
ドカンと大きな衝撃を全身にぶつけられた気持ちになりました

その場では、表情こそ平静を装いましたが、ぶちあてられた心からは、血がドクドクと吹き出していました

これほど心をえぐる、残酷な「わかるー!」は、聞いたことがありませんでした

その後はすぐに
「彼女の妊娠話を聞く会」に戻りました

そして、すべてを話し終わったのでしょうか


彼女から唐突に、


「もう疲れたから今日は帰りたい。妊婦って眠いし疲れやすいんだよ」

そう告げられたので、会はお開きとなりました

軽々しく「わかる」といってはいけないとき

話はすこしずれますが…

私は身長が160センチあります。
日本女性の平均身長より少し高めくらいです

しかし、中学生まではクラスで一番背が小さく、それがコンプレックスでした

妹は私と違って発育が良かったこともあり、
身長が高めでした

家では妹と比較され、親にはお前はドチビだなー
と馬鹿にされ笑われていました

中学時代の担任にも
「あんたは身長がすごく小さいけれど、気を落とさず生きていきな」と謎の励ましを受けるくらいの身長でした

人より身長が極端に低いことへのコンプレックスや苦しみはいつも私につきまといました

そして身長というのは、努力ではどうしようもありません


いつも身長のことが頭にあり、悩んでいました

しかし、中学生後半から、私の身長は急に伸びだしました

小学生の頃は身長差がありすぎて見上げていた友人たちを見下ろすくらいに、私の背丈は変化しました

時々、身長で悩む人の話を聞くと、
かつて同じことで悩んでいた自分とリンクして、辛い気持ちがとてもよくわかります

でも、悩む人に向かって
「わかるー!私もそうだった!」
なんて軽々しく言うことは絶対にしません

身長のことで悩む辛さをわかっていても
今の私は、身長で悩んでいる人、とは言い難いため

安易に同調された人は気分を害するに違いありません。

  • 「かつては身長で悩んでたかもしれないけど、今のあなたは違うじゃない。」
  • 今現在は、身長に、まったく悩まされてないあなたに一体なにがわかるの?」

そう思われると思います。
自分だったら絶対そう思います

だから私は気軽にわかる、なんていえません


たとえわかったとしても、わかるー!と軽々しく言ってはいけない場面ってあると思うんです

共感が難しくなったとき

結局、その女性とは、
それ以後会うことはありません

今は時々、彼女から子育ての記録や愚痴
子供の写真がSNSで届きます

私はそれに対して返事を送ったり送らなかったり
そんな関係性です

以前とはすっかり変わってしまいました

私はというと、うつ病が慢性化したこともあり、年齢的にも、体力気力を考慮しても、今後子供を持つことは不可能だろうと考え、

夫と話し合った結果、子供を持つことはあきらめました

今の彼女と私には、以前のような、強固な共通点はなくなりました


それどころか、対照的といえるくらい、
方向性の違う人生を送っていますね

彼女から送られてくる子育て話ですが、
「自分が欲しくても得られなかった分野の話」というのは、

共感する部分どころか、どう返せばいいのかすらよくわからず、今や何気ない会話すら難しいと感じることがあります

関係性は一気に変化しました

少なくとも私は、
彼女と以前のように「会って話をしたい」、とは思わなくなってしまいました

「わかるー!」が、「わかりあえないきっかけ」になるとき

彼女と私の関係の変化は、
決して特別な出来事ではありません

人は立場の変化や時の流れで、
大事なもの、考え方、
いろんなことが変化します

このブログを読んでくださるみなさんも
似たような経験談を、いくつもお持ちだと思います

そして、その訪れた変化により、

以前はどれほど仲良く共感しあっていた仲であっても、


一瞬で分かり合えない関係へと変化してしまうことがあります

悲しいことですが、
自分と全く同じ境遇や考え方が一生続く人なんて、絶対いません

自分も、自分以外の人も、
刻々と変化しながら生きているんですから・・・

彼女とは、今後もおそらく、
以前のような関係には二度と戻らないのだろうな、とぼんやり考えています

あの、妊娠を報告された日。

私の苦しい現状を思い切って吐露したら、
即座に、笑顔で、


「その辛さわかるよー!やばいよね!私も子供できなかったとき病みそうになったー」


そう返された時。

その時点で既に、
今後の関係性の変化を予感していたかもしれません

共感する、共感されるのはとても心地の良いものですが、


時として、そして使用法によっては、
人と人が離れてしまうきっかけになる場合もある

そんなことを、身をもって知る出来事でした

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