私は、専業主婦というのは、自分の人生に一番関係ない職種であると思っていました
事実、学校を卒業してからは職に就き、結婚後もパートや派遣など何かしらの仕事についていました
しかし、今は専業主婦です。全く仕事もせずに終日一人、家にこもっています。なぜそうなってしまったのか。そのきっかけはうつ病の発症でした
家にこもってないで働けよ(笑)
「専業主婦って、ひとりで一日中家にこもって何してるの?ちゃんと働けよ(笑)」
このような大変直接的な表現を浴びせかけられたことも一度や二度ではありません
このセリフを私に言いながら、明らかに侮蔑の表情を浮かべていた人もいました
こう言う人の気持ち、よくわかります。なぜかというと、かつての私も専業主婦に対してはほぼ同じ感想を持っていたからです。何なら同じく、侮蔑の表情も隠しきれていなかったかもしれません
うつ病がこれまでの人生をガラリと変えてしまった
かつて私は、自分は専業主婦なんかには絶対ならないだろうと思っていました。一番自分から遠い存在なんだとも。
家にいて家事に励み、家族のためにあれこれ世話を焼くなんて職種、絶対自分の性に合わない。しかもお金を一銭も稼がないなんてこの世の中リスキーすぎる
ましてや財産も助けてくれる実家もない私が、そのような立場にいるなど危険極まりない
誰にも妨害されることなく自由に、寿命が尽きるまでは堂々と一人で生きられる力を蓄えなければならない、それには仕事を持ち、働きつづけねばならない。
そんな風に思い、子供の頃から勉強などの準備に励み、その後訪れる辛く苦しい就職氷河期における就職活動を耐え抜いたわけです
しかし、着実に推し進めていたこれまでの生き方が、もろくも崩れる出来事が起きました
うつ病発症です
これで、これまでできたこと、がんばってきたことが一気にできなくなり、一気に失われました
何をするにも心身が辛く、頭も体も動きません。体を横たえるので精いっぱいです
- 「なぜ私がこんな役立たずな存在になってしまったのか」
- 「自分が、無職で寝ているだけの邪魔な存在になるなんて…」
枕を涙で濡らしながら、何万回も自分で自分を責めました。しかし、その状態は何年も続きました
うつ病が快方にむかって働きだすと…
うつ病の状態が落ち着くと、主治医からはそろそろ仕事をしてもいいとの許可がでました
ちなみにうつ病は「完治」という概念はなく、落ち着いた状態を指す「寛解」という判定になります
私はその後すぐにパートや派遣で仕事を見つけて働きだします
私が、働かずにただ家にいるなんて許されるわけがない。すぐにでも仕事を始めなきゃ
そんな思いに突き動かされるのです
仕事が決まった時、働きだしたとき、「ああ、やっとこの状態に戻れた」と感慨に耽ります。通勤しながらうれし涙がこぼれたこともありました
しかし…その後。以前と違って長期間継続して働くことがどうしても不可能なのです
仕事をこなすこと、対人関係、仕事と家庭の両立、以前はなんなくできていたことへの耐性がものすごく低くなっています。日々辛さが増してきます
限界を超えだして徐々に雲行きが怪しくなるバロメーターとして、
- 夜眠れなくなる
- ストレス解消のため過食気味になり太る
という症状が出てきます
しかし、まだ大丈夫だと自分を叱咤しながらそのまま仕事を続けると、
- 突然涙があふれて止まらなくなる
- 黙って壁をけり続ける、または壁を殴り続ける(殴打が過ぎて指を骨折したこともありました)
そんな過度なストレスによる奇行じみた行動が出てきます
そして、あえなく兼業主婦の日々は強制終了、うつ病は快方どころか以前より悪化してしまい、処方される薬の量や種類が増え、寝込んでしばらく動けなくなるという状態を何度か繰り返しました
外に出て働くことは諦めた
そのような状態が続き、うつ病も慢性化してしまいました。ここしばらく、寛解の診断を受けたことはありません
現在、どんなにうつ病が快方に向かっても、医師は「働いていいよ」とは決して言ってくれなくなりました。私は外で働くことを諦めました
先ほども記したように、現在は結婚後も夫婦ともに働くことが多数派の世となりました。その中で専業主婦、ましてや子供もいないのに、一体この人はどうして家にこもり続けているんだろう、そう思われるのもしょうがないと思っています
しかしながら、そう尋ねられる度に
- 私はうつ病によって、ストレス耐性が非常に低くなってしまいました
- 無理して働き続けると、ストレスにより奇行に走り、壁殴打により手足を骨折したり、うつが悪化するなどの減少に見舞われてしまうんです
といちいち説明するのもうんざりします
笑って「そうだねー普通働くよねーみんな働いてえらいよねー」と、自分の専業主婦っぷりが話題から逸れるのを待つのみです
うつ病が落ち着いている現在の状況
現在の私のうつ病は、落ち着いています.
しかし、以前のように「よしよくなった!働こう」と即仕事探しなどの行動に踏み出すようなことはしていません
以前、同じ状況下ですぐに仕事に就いてやがての大失敗、人生大後退した経験の数が多すぎて、恐怖の記憶として強烈に残ってしまっています
年も年ですし、もう心身に大ダメージを食らうことは避けたいです
金銭的なこと、今後の自分…不安は山ほどありますが、そこはまずあえて考えないようにして(それがまた難しいのですが)、今は自分が好きなことや、楽しいな、と思えるささやかなことをたくさんするようにして、心身をよろこばせることに力を注いでいます
お金を稼ぐことができず余裕もない状況なので、もちろんお金があまりかからないことに限られますが…どんなことをしているかというと、
- 自分が思ったこと、感じたことをそのまま文章にする(このブログを書くこともそうです)
- 陽を浴びながら、自分のためにおいしく淹れたお茶を飲む
- 公園にいき、散歩されているワンちゃんを見て心和ませる
など、自分が好きと思うこと、気分がよくなることをたくさんしています
なんか隠居したご老人みたい、と書きながら思いましたが、いいんです。自分がそれでいい気分になるのならば
できることが少しずつ増えてきた
そんな日々を送るうちに、図らずも、これまでできなかったことが少しずつできるようになってきたんです
例えば、棚の上の掃除や、茶渋のついたマグカップの漂白など、本当にちょっとしたことですが、
以前では目に入らなかったこと、自分からしようと決して思わなかったことに気づくこと、実行することが可能になってきたんです
棚の掃除、マグカップの漂白は、棚やカップが目に見えてきれいになります。やり遂げたことが可視化されることによる満足感を得られて、また心が喜びます
この「ささやかだけど、心身が喜ぶことをすることの積み重ね」っていうのは、もしかして、抗うつ剤を飲むのに匹敵するぐらい、心身を回復するのに一役買っているのではないかということを身をもって実感しています
一足飛びに回復を急ぐ(無理に働く)よりも、
できることを一歩ずつ(好きなことをする)という方が、一見遠回りに見えても、意外と心身の回復への近道だったのかな、と失敗をたくさん重ねた過去を経た今、思っているところです
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