今や日本だけでなく、世界中の人たちに楽しまれているジブリ作品。
アラフォーの私は子供の頃、となりのトトロや魔女の宅急便などの、スタジオジブリ初期の名作にリアルタイムで触れて楽しんできました。
当時、毒親という概念を知らなかった子供の私でしたが、
ジブリ作品、とくに作中での親子関係のシーンを見るとき、なんだかわからないけど複雑な感情がわきおこっていたものです
時にはそのなんだかわからない感情がうずまいてアニメを直視することが辛く、ジブリ作品を見るのを避けていたこともありました。
恐らく、ジブリに出てくる親と、わが毒親家庭における毒親との、あまりの違いに驚いて、子供の私は一体それをどう解釈し、受け止めたらいいかわからず、混乱してしまったのだと思います
この記事では、ジブリ作品の中でも、私が子供の頃から親しんできた
- となりのトトロ
- 魔女の宅急便
- 耳をすませば
この3作品の中で描かれる親子のシーンに対して、私は一体どんなところに強い印象が残り、そしてどんな複雑な感情を抱いたのか?ということを書いていきたいと思います
ジブリ作品に登場するお父さん・お母さんの特徴
ジブリ作品を見ていて私が感じた、登場するお父さんお母さんの特徴を書いていきたいと思います
子供へのまなざしが暖かく、優しくしっかりと子供を見守ってくれる
この三作品に登場する大人たちは、基本的に子供に対して優しく、遠くからも近くからも暖かく見守ってくれている人が多いんですよね。
子が寂しかったりどうしたらいいか迷うときは、そっと子供に寄り添いサポートする‥
一方で、当時の子供だった私の周りはというと、親を含め血を分けた親族達は冷たくて嫌な人たちばかり。
他に私に興味を持つ大人なんて誰一人いませんでした。
学校でも教師は暴力的な人が多く、家でも学校でも大人に怯えて暮らしていたものでした。
ジブリ映画に出てくる子供たちは、親を始め、周りの大人に自然に見守られ、大切にされている子が多いんですよね。
そんなに理解のある優しい大人たちに恵まれていなくとも、せめてたった一人でもいいから、静かに暖かく見守っていてくれる大人が自分のそばにいてくれたのなら、
子供の私は安心感を得られることができたのだろうな‥と今でも思います
親はしっかり自分の世界を持っていて、子を一人の人間として尊重し、大切に扱う
サツキとメイの両親、キキの両親、雫の両親‥
どの親にも共通しているのは、しっかりと個が確立した同士が結婚し、大人同士の協力関係を築いているということです
それは様々なシーン、交わされる会話1つからもわかります。
だって、いつも目の前で嫌でも見させられている我が毒親夫妻とは、おどろくぐらいに違うのですから‥↓↓↓
夫婦げんかが絶えずに子供に仲裁させたり、
夫婦お互いの悪口を子供に聞かせたり、
寂しさを子供で紛らわそうと、子供にベッタリと張りついたり、
子供がやりたくないことを強要させて満足を得ようとしたり…
…などという、私にとっては日常だった親による毒親しぐさが、ジブリ映画に出る両親には、まったく見当たりません。
子供の頃の私が、ジブリ作品に登場する親たちー優しく子供を包んでくれて、それぞれの個がしっかり自立している立派な両親たちー
のシーンやその言動を目にすると、
お父さんお母さん仲良すぎるし、みんなしっかりしたいい人たちすぎない?
こんなの現実にあるの?うそでしょ?
しかもどの親も子供に優しすぎて甘すぎない?
わたし、親にこんなに寄り添われて優しくされたことない‥
しかもあのお母さんたち、うちのお母さんみたいに子供の日記盗み読みしたり、私の友達の悪口を笑いながら言ったりとか絶対しなさそう‥
私はこのように、ジブリ作品に登場する両親の自立する姿、優しさや暖かさに驚きました。
そう。そして子を脅し、言いなりにする恐ろしい毒親しか知らなかったため、私は子供に寄り添う親の姿を見て、
「こんなに子供にやさしくするなんて、これは子供を甘やかしすぎじゃないの?」という悲しい勘違い・思い込みをしていたんですよね‥
私は物語に出てくる”優しすぎてものわかりのよすぎる親”のことをどう受け止めていいかわからず、
このように
”こんなに子を甘やかす親なんていない”
”これはうその作り話、ただのおとぎ話だ”
と自分に言い聞かせて、ざわつく自分の心をごまかしていました‥
それでは、3つのジブリ作品の中にでてくる親子関係について、毒親育ちの私は、どのシーンに対して強い印象が残り、一体どんなことを感じたのか?ということを書いていきたいと思います
となりのトトロと毒親育ち
サツキがメイの面倒を見るところ全般が辛い
私は幼い頃、「長女だから、年長だから」というわけのわからない理由で、親や親戚から、わがままな妹の面倒を見ることや、親戚の年下の子供たちの子守を強要されることがよくありました
自分もまだ幼いというのに、妹や親戚の子守をさせられたことで、子供のわがままや嫌な部分にたくさん直面させられ、子供に心底うんざりしていた子供でした。
そんな状態だったため、サツキがメイを世話する姿を見ると、子供が子供の面倒を見なければならないその辛い状況に共感し、同情していました。
わかるよ。子供ってわがままだし子守って疲れるよね
サツキお疲れ様‥。
自分自身がリアルタイムでさせられていた子守で、うるさくてわがままな子供たちの世話がどんなに辛いかわかっていたため、子供の頃は正直サツキがメイに振り回されるシーンを見るのがきつかったです。
メイが騒ぐシーンは、耳をふさいでやりすごしたこともありました‥
なにかと苦労するサツキに対して、周りの大人はそっと寄り添ってくれる
サツキは今でいうヤングケアラー、でしょうか。
まだまだ幼い子供だと言うのに、お母さんが病気で不在、妹の面倒を見て家のことをして‥ということを長女だからと自然と背負わされているのですよね。
お父さんが寝坊しても、健気に朝ごはんや弁当を作るシーンもありますね。
でもそれでも、周りの大人たちはサツキにたいして「がんばってるね」という暖かいまなざしを向けたり、感謝の気持ちを表したり、辛いときはしっかり感情を受け止めてよりそってくれるんです。
いいなーと思いました。
我が毒親、毒親族なんて、てめえのクソガキ共の世話を私に押し付け、私が子守するのが当然という態度で、それに対して感謝されたことなど一度もありませんでしたし、
妹や親戚の子供の世話を押し付けられて、そこから逃げることどころか、ぐちをこぼすことすら許されていませんでした。
サツキは大変ではあっても、周りの大人たちにその労をわかってもらえて、ねぎらわれ、感情を受け止めてもらえている、というところが本当にうらやましかったんですよね
父娘たちが病院でお母さんを見舞った時、お母さんはメイよりも先に「サツキ、こっちにいらっしゃい」とサツキに声をかけ、自分のそばに来させます。
メイがぐずっても、決してその順番は変えません。
そしてサツキの髪を丁寧にブラッシングしながら、優しい言葉をかけてあげています。
お母さんがいまできる、最大限の愛情表現をサツキにしてあげてますよね。
この時の、サツキの本当にうれしそうな笑顔が印象的です
最後の方のシーンでは、サツキはおとなりのおばあちゃんに不安を打ち明けます。
お母さんの退院が延びてしまった不安や寂しさや辛さと共に、恐らくこれまでがんばってきて、張り詰めた感情がふきだしてしまったのでしょう。
声をあげて泣いてしまいます。
そのサツキのことを、おばあちゃんは優しく受け止めてくれるんです。
(サツキのその姿をみたメイが、また幼児由来の暴走をしてサツキにめちゃくちゃ迷惑かける姿に、子守を強要されてた子供視点としてはまた腹が立つのですけどね‥)
周りの大人たちは、その場で自分ができるサツキへの寄り添いやケアをかかさないのですよね
その場にいるのに子を邪魔がって、ろくなケアをしない、我が毒親とは全く違います
サツキに「私の幼い頃にそっくり」と優しく髪をとかすお母さん
さきほど触れたシーンで、サツキをやさしく呼び寄せたお母さんは、娘のくせ毛をブラッシングしながら、くせ毛が私の幼い頃にそっくり、と語り掛けるんですよね。
美しく優しい母にそっくり、と優しく語り掛けられて、それに大喜びするサツキ。
私の家庭では、毒母に真逆の言動を取られていました
私は毒母に、小さい頃から「あんたは私に全然似ていない!妹ちゃんと比べてお前は色黒でブス!」と私の見た目をののしられ、笑われてきました。
毒母と妹はよく容姿をほめられており、自分たちでも見た目には自信があったようです。
私は彼女たちとは顔のテイストがちがって、彼女たちにいつも私の見た目をネタにされ、笑われていたため、自分の見た目はモンスターのように醜いのだと思い込んでいました
母方の祖母からも、容姿を笑われましたね‥
もちろん祖母に盲従する毒母は、私をかばうことなく一緒に笑います
容姿がよい女性、という共通点がありながらも、サツキのお母さんの優しい気遣いと、わが毒母の子供罵倒ムーブはまるで天国と地獄のように真逆です。
また、私はお母さんから優しくブラッシングしてもらった、という記憶もありません。
子供の頃の私は、髪のケアをしてもらえず、いつも寝ぐせだらけのボサボサで不潔な状態でした。
髪を洗っていいと許可されるのは日曜だけという謎のルールがありました。
子供って動き回って汗やよごれでいっぱいだというのに、家に風呂がない時代ではないというのに、洗髪は週一です
お湯がもったいないとか単に洗って乾かすのがめんどくさいからとか、恐らくそんな理由で私はボサボサで不潔な髪で生活をしていました。
毒親は子供に手間をかけるのが本当に嫌で、奴らはいつでも徹底的に子に使うエネルギーを削減していたんですね。
省エネ子育てですね。
もちろん親から優しくブラッシングなんてしてもらったこともなく、私は、寝ぐせのままのボサボサが普通、
毒親からはいつも「お前の髪は汚いから触るな。」と言われていましたが、髪をろくに洗わせてもらえない上に、ろくにケアもされないのだから当たり前ですよね‥?
子供の髪を親がケアしないで、一体だれがケアするんだ?
それがわからないのかこの毒親は‥
目の前のテレビで、お母さんが娘の髪を優しくブラッシングしてくれるシーンを目の当たりにするというのは、ボサボサで手入れしてもらえない髪をした子供(私)には、なかなか心にくるものがありました。
メイが喜んで食卓でジャンプしても怒られない
朝食の食卓で、メイがサツキにお弁当を作ってもらって、うれしくてジャンプしてテーブルが揺れてるんですよ。
それに対してお父さんは「メイ、座って食べなさい」この一言だけ。
この一言だけ?
それでこのガキムーブは許されるの?
本当にびっくりして何度も繰り返してこのシーンを見たものです
私がもし、父との食卓で同じことをしようものなら、「うるせえ黙れ!」と怒鳴られ張り飛ばされ、朝食はもちろん抜き、弁当は没収だったことでしょう。
この家は、どこまでわがままな子供に自由が許容されているのか‥
どうして私の家の親とこんなに態度が違うのか‥
と唖然としたものです
(余談)トトロを見ていると「お前はぜいたくで恵まれている!」と毒父から謎説教が始まる
これは余談になるのですが‥
となりのトトロ見ていると、毒父は脇で私に昔の苦労話と謎説教を始めるんです。
サツキとメイのおとなりさんである、カンタが家の手伝いをしているシーンをみると、毒父は自分の子供時代、毒祖父母に使役されていた思い出がよみがえるようで、
俺はな、小さい頃、こんな風に親の手伝いをしていたもんだ
本当に大変な人生を生きてきたんだぞ。
(ここで具体的な闇の記憶を聞いてもないのに語りだす)
それに比べてお前は!
こんなに豊かな時代でぼんやり暮らしやがって・・
どれだけ甘ったれてるんだ!
苦労話をしていくうちに、平和な世でのんびり暮らす子供(私)が憎くなってくるようで、やがて説教に変わってくるのです
今となってはいやあのさ、今アニメ見てるからうるさいんだけど‥そもそもそんなん言われてもさぁ、知らねえよ!としか思えないのですが
子供だった当時は「私は豊かな時代で甘ったれて生きているのか。親が言うんだからそうなんだな」と背負う必要のない自己否定や罪悪感を付けられて苦しんだものでした
となりのトトロだけで、書きたいことであふれかえってしまい長くなってしまったので、魔女の宅急便と耳をすませばを見て感じたこと、は次の記事に続けようと思います↓↓
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