「子供の頃に戻りたい。」なんて言葉を耳にするたびに、そう思える人は、本当に幸せな子供時代を過ごしたんだろうな‥と心から羨ましく思います。
しかもこの言葉って結構よく聞くので、戻りたいとおもえるほどの幸せな子供時代を過ごした人は、この世にたくさんいるんだな、ということに気づくのと同時に、それとは逆だった自分の子供の頃をいやでも思い返し、ほんのり暗い気持ちになります
毒親育ちである私は、子供の頃に戻りたいなんて少しも思えないんです。
たとえ今よりも肉体が若くなっても、今よりも人生の残り時間がずっと増えるのだとしても、子供の頃になんて絶対に戻りたくない。
毒親育ちの子供時代は「逃げたくても逃げられない辛さ」にとりまかれていた
私の子供の頃は‥生まれ落ちてしまった毒親の君臨する家庭で生きるしかなかった子供の頃は、今思うと手足や心を様々な方向から縛り付けられていたかの如く、がんじがらめ。逃げたくても逃げられない状態だったように思います。
家庭だけではなく、家庭の外でも辛さ苦しさがありました。
子どもだった私の心には、毒親由来の人間不信や人間嫌悪というものが子供の頃からすでに発現してしまっていたために、人と関わることに意義や意味を見いだせなかったんです。
友達と一緒にいてもあまり楽しくなかった、いえ、むしろ疲れるばかりでした。
そもそも友達といっしょにいたり仲良くしなきゃならない理由というのが、全くわからなかった。
ただ疲れるだけじゃん、一人でいた方がよっぽど気楽なのに、そう本気で思っていました。
でも子供にはそれが許されない。家では家族が、学校では友達や教師と常に共に過ごさなければならないことに、子供の私は疲れ果てていたんです
毒親家庭に育ち、人に絶望していた子供時代の私は、こんな風にどこに行っても居心地の悪い場所だらけだったので、あの頃に戻りたいなんて少しも思えないんですよね。
人と一緒にいることはしんどいこと。ひとりになりたい…↓
がんばって人と仲良くしようとしても、毒親由来の白黒思考が邪魔をしてなかなかうまくいかないし‥
大人になり、毒親の異常性にほとほと嫌気がさし、決意して力を振り絞って毒親と決別をした頃。私は力を使いつくしたのと、これまでの疲労により倒れてしまいました。その後も、以前のようには動けなくなってしまいました。
仕事も子育ても、日常生活すら何もできない。
そしてそのまま、仕事も子供も「わたしはこれをやってきた!」というものなど何も持たない、ただ歳ばかりとった人間になってしまった今。
とても不思議なことなのですが‥「これまでで1番穏やかに生きていられるな」と思える位、心が楽になったんです。はたから見ると何も持たない情けない状態だというのに、楽さでいうと、人生史上もっとも心が楽で身軽でいられてるんです
これがもしも「今から子供時代に戻れるよ!」なんて言われても、もう絶対に嫌です。戻りたくない。たとえ何も持たない情けない大人である現在の自分であっても、あの子供時代よりも何万倍も今の方がいい、と言い切れます
おわりに
子供の頃に戻りたいね!と無邪気に思える人はとてもうらやましいです。
それほどに幸福な子供時代の記憶というのは大人になっても心を暖めてくれるのでしょうし、なによりその人の人生というのは、その幸福な子供時代が下地となり、その延長上にあるということが私と全く違っていて、本当に羨ましい。
毒親育ちは辛く苦しく逃げたくても逃げられない子供時代から必死に決別して遠く離れ、かつてとは全く違う地点での人生を自力で一から構築しなければならない。
「子供の頃に戻れる」なんて聞こうものなら‥やっと離れられたというのに、今更また戻れと?冗談じゃない!
「子供の頃に戻りたい」という言葉を耳にした毒親育ちの私は、そんな思いしか持てないのですよね。
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